もうひとつ、矢中先生が研究で力を入れているのは、『地域とのつながり』である。「地域の方々から、『こういう食品素材を何かに生かせないか」というお話をうかがう機会が結構あるんですね。それで、新しい食品素材を提案しながら、商品開発等のお手伝いができたらいいなと思って、そうした研究もしています。広島県の地元の食品素材を、身体にいいんだよということを宣伝しながら、それらを使った商品をつくっていく。そういう地域密着型の研究ですね」。
その一例が、『はっさく』関連の商品開発だ。広島県はかんきつの産地のため、その中から、特に身体に良いものをしっかり探し、『はっさく』が身体にいいということを提案。その後、地元の食品メーカー数社の協力も得て、はっさく菓子『せとこまち』や『はっさくマーマレード』を開発し、いまでは一般に販売されて好評を得ているという。
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このように、さまざまな研究に取り組んでいる矢中先生だが、広島大学に赴任する前は、製薬会社に約10年勤務した経験を持つ。
「農学部出身で、当時は微生物の力を使って有用なものをつくるというような研究をしていました。その関係で製薬会社に入ったんですが、入社した頃からその製薬会社では、そうした微生物の研究はやらないという方針になってしまって。なんのために入ったんだろうと思いましたけど、そこからは猛勉強して、新しいコンセプトで薬をつくり出すというということをやっていましたね」。
そのため、いまは研究対象が薬から食品に替わったものの、病気や身体との関わりを追求するスタイルは同じだ。
そんな矢中先生の研究の醍醐味は、「ささやかでも、いいものを見つけたねと評価されること」であり、「やりがいを持って、おもしろいものを学生さんと一緒に見つけること」であると矢中先生は言う。
「地域密着の研究もしかりですが、やはり、おもしろいとかうれしいという感情を誰かと共有できることですね」。 |
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そして、矢中先生はこれからも、世の中にまだ知られていない食品素材の機能・効能を探していくとのこと。目標は、「仲良く、楽しい仕事をすること」だ。
最後に、研究者を目指す若者に向けて、こんなメッセージを贈る。
「みなさんにはどうか、最初からダメだと諦めずに、何事も挑戦して欲しいと思います。解けないことは素晴らしいこと。そこには、まだ知らない世界があるという風に思って欲しいですね。例えば、テスト問題は、解けるものから着手して、解けないような難しいものには手をつけなかったりする。効率はそのほうが良いのでしょうけれど、これが研究となると、そういう姿勢は致命傷になるように思います。これまではパスしていたような道へ、もし行ってみたら、なんだか新しい景色に出会えるかもしれないし、新しい発見になるかもしれない。そんな風に挑戦する気持ちを持って、ぜひ、うちの研究室に進んで来てください」。
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※この研究は、矢中先生と重井医学研究所およびオランダのラドバウド大学の共同研究によるもの。英国科学誌「Scientific Reports」にオンライン公開もされた。
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